模様染めについて⑦ 印染・その他の模様染め
みなさんこんにちは
久々となってしまいましたが模様染めのラストとなります。友禅を中心とした模様染めですが数多くあるものですね。今回は印染とその他の模様染めについてアップしてみたいと思います。
・印染について
友禅染が模様染というならば、印染は文様染といえます。
染色工程においては基本的には友禅染とほぼ同じ過程で染め上げていきますが、特に違う所は印染の方は文様の生地の裏表に防染糊を置くことです。
このことは文様の裏表をすっきり染め上げるという目的をもってます。
また印染は主にマークを染め抜くということに主眼がおかれているので、取扱い商品は、旗・のれん・ふくさ・風呂敷と多面にわたって用いられています。
商品によって使用目的が違うので、素材として絹・木綿・麻などもあります。そして商品によってもちろん、大きさも形も異なっていることから印染の染工場においてそれぞれの専門分野に別れています。
・その他の模様染めについて
(1)墨流し染
水の表面張力を利用した墨流し染めは、現在油性の材料を使うことで各種の色を使うことができ、また大きな水槽を使って一反の生地や、絵羽縫いをした着物を一度に染め加工することも行われています。
(2)糊流し染
昭和の初め墨流し染めをヒントに、より安定で多色が染められる糊に化学染料を混合した写し糊を使った糊流し染めが開発され、マドレー染め、ピーコックプリントなどの名称で染められています。
(3)液描き
ダンマル液をキハツで適当な濃度に溶き、筆で描き上げます。
ろうと違い半防染の性質をもつダンマル液はろう描きより、ずっとやわらかいタッチを出す事ができます。
又、色ダンマルを使用すると半防染と着色を一度にする事ができますが、その着色の度合は不安定です。
(4)石版刷り
明治時代にドイツから細密印刷手法として入ってきた大理石の一種である石版石を使った石版印刷方式で、大正時代より羽二重の背裏などに印刷調の染めがされていました。
石版石では大きさや取り扱いが不便なために、亜鉛版に代わって今のオフセット印刷と同様の方法で染色が行われています。
生地に染めるために印刷インキでは不十分なので油性の合成樹脂顔料が使われております。天然写真調の精密な捺染に特長があります。
(5)きめ出し染
江戸時代に鹿の子絞りがぜいたく禁止令で染められなかった時代に、手描き鹿の子や型による摺り疋田を染めて、凹凸を表現するためにろう板に疋田鹿の子の部分を突き込んで凹凸を表現しました。
ろう板加工とも突出し鹿の子とも呼ばれます。
(6)摺りはがし染
紬などの節糸の生地に、植物染料などの堅牢で糸の表面に染まって浸透の良くない地染めをし、バレン等で生地摺り、紬の節部分を半分摺り落として白く現わす方法となります。男物の高級着尺として使われています。
多くの染め加工方法が有り、また今後、材料の進歩発達によって新しい加工方法が出現するものと考えられます。
次回からは金彩と刺繍についてアップしていきます。