模様染めについて⑥ 絞り染の種類
みなさんこんにちは
前回の絞りについてから今回は絞りの種類についてアップしてみます。
「絞り」といいますが色々な手法があるものです。そのどれもが手間暇かかりそうなものばかりですね。
【縫い絞り】
(平縫い絞り・折り縫い絞り・合わせ縫い絞り・ミシン絞り)
(杢目絞り・唐松絞り・日の出絞り・縫い養老絞り・日影絞り)
縫い絞りは、平縫い、折り縫い、合わせ縫いなどの方法で布を縫い、縫った糸を引き締め、縮ませることが基本となります。
杢目絞りは五~十ミリ間隔で総縫いした絞りで、不規則な縦皺が杢目のようにあらわれます。
唐松絞り、日の出絞りは手法が似ていますが、日の出絞りのほうは縫終わった生地の裏に芯を入れ、竜巻加工(※手筋絞り参照)を併用します。
日影絞りは手法がむずかしく、技術をもった人が有松に一人しかいなかったので、最近、技術者を養成しておられます。亀甲や麻の葉まどの模様を折り縫いし、縫った部分だけを表に出して棒に巻きつけて染めます。合わせ縫いは、左右相似形の模様に応用します。
【手筋絞り】
(竜巻絞り・みどり絞り)
(柳絞り・蜘蛛入り柳絞り・鎧段絞り・山道絞り・手筋豆絞り)
手筋絞りの基本は、手で生地幅に幾十本かの筋目に沿ってひだを取って、掛け糸をかけていきます。これで生地は一本の縄状になりますが、この縄状になった生地の両端を回転器具にとりつけ、回転させながらもう一度、四ミリ間隔に強く上巻きをしていきます。この回転しながら掛け糸を巻く作業を竜巻加工と呼んでいます。
みどり絞りは柳絞りと同じで、手で筋ひだをつけます。蜘蛛入りというのは、一粒の蜘蛛絞り(巻き上げ絞り)を前もって入れておき、次に手筋加工をします。
【蜘蛛絞り】
(手蜘蛛絞り・ひだとり蜘蛛絞り・機械蜘蛛絞り)
蜘蛛絞りは、絞りあげた模様が蜘蛛の巣の形になるので、このように呼ばれています。中心を鉤針に引っかけ、指の先で傘の竹骨のようにひだをとり、皺を寄せて根元から細かく糸を巻き上げて絞ります。手蜘蛛絞りは、下絵をつけずに手加減だけで、石垣を積み重ねるように間隔を保ちながら括っていきます。
機械蜘蛛絞りの機械というのは、速成蜘蛛絞製出機のことで、大正期に大流行しました。
【三浦絞り(鳴海絞り】
(横三浦絞り・筋三浦絞り・芯入り三浦絞り・裏芯入り三浦絞り)
(むきみ絞り・ひよこ絞り・疋田三浦絞り・石垣三浦絞り)
三浦絞りは、豊後(大分県)の三浦玄忠の妻が伝えたので、三浦絞りといいますが、またの名を、鳴海絞りとも呼んでいます。
横三浦絞りは、下絵なしで横幅に35~50センチぐらいに括ったものをいいます。
疋田三浦絞りは下絵を摺り、その粒を目安として、左端の粒から括り始めて、右斜めの方向に一粒ずつ丹念に括ります。手法は横三浦と同じですが、染めあがった絞りは疋田菱型になります。
石垣三浦絞りは、大・小の大きさの絞りで、地あきのないように括ります。
【鹿の子絞り】
(鹿の子絞り・横引き鹿の子絞り・らせん絞り・器械鹿の子絞り・器械一目絞り・突出し鹿の子)
(本疋田絞り・中疋田絞り・ばら疋田絞り・京極疋田絞り・一目絞り)
絞りのなかで、もっとも高尚で繊細な感覚のあるものです。
京鹿の子絞りは手結び鹿の子絞りとも呼ばれ、主に京都地方で発達しました。左の手指で布をつまみ出し、絹糸(シケ糸ともいう)で一粒ずつ括ります。疋田は布目に対して、斜め格子の角度に四角形の小さな絞りがびっしりとつまっています。本疋田、中疋田、京極と呼び分けるのは、粒に巻きつける糸の回数によるもので、本疋田が多く、京極は少ないです。糸を巻く回数が多いほど鮮明に白地が浮きあがります。器械鹿の子絞りは、本疋田絞りが手指だけで絞るのに対して、絞り台にとりつけた鉤針に布先を引っかけて絞る手法をいいます。「キカイ」が大げさ、というので針疋田絞りと呼ぶところもあります。
一目絞りは、線状の模様を表現するのに適しています。突き出し鹿の子絞りは、絞り台を使って生地を二、三枚重ねて絞ります。これに手法が似ているのが、らせん絞りとなります。
【巻き上げ絞り】
(皮巻き絞り・帽子絞り・竹輪絞り・根巻き絞り)
巻き上げ絞りは、下絵にしたがって円、角、菱、花などを平縫いし、引き締めて縮め、袋状になった模様部分に糸を巻きつけます。皮巻き絞りは、縫って引き締めた袋状の部分を、竹皮(今はビニール)で包んで、糸で巻きあげます。竹輪絞りは竹管を布の上からはめ込んで染めます。
【板締め絞り】
(締め木絞り)
(雪花絞り・菊花絞り・金蜘蛛絞り・村雲絞り)
板締め絞りは型板や棒板を使って、素朴に絞る手法で、折りたたみ方と板の使い方で種々の模様が染め出されます。
【箱染め絞り】
(筏染め)
筏染めは、染色用の木箱の底に目の粗い金網を張り、この箱の中にひだをとりながら生地を詰め、箱の底面を染槽につけて染めます。
【桶染め絞り】
桶染めは、桶を使って色を染め分ける絞りの技法の一種でして、高度な技術を必要とします。方法は直径40センチの桶の中に染めない部分の生地を詰め込み、染め分けにする部分を桶の外に出して蓋を閉め、桶のまま染槽につけて染めます。
【嵐絞り】
(竹みどり絞り)
(松風・雨桜・十の字桜・さざ波・斜め網・亀甲・網)
嵐絞りを棒染め絞りともいうように、長尺の丸太棒に布を巻き、この上から掛け糸をかけ、糸掛けした生地を棒の前方に向かって押し縮めます。染色は丸太棒のまま、染槽につけます。布の巻き方、糸の掛け方、さらに押し縮め方で、嵐絞りの模様染めは百種以上もございます。
竹みどり絞りは、嵐絞りの網と、みどり(手筋)の技法を併用したものとなります。
なかなか説明だけではイメージがわかないものもございますので、HP管理人も機会がございましたら一度見てみたいです!
また、パールトーン加工は絞り商品にも効果的ですので是非加工ご依頼ください(^^)