織物の種類について③
皆様こんにちは 今回は絹以外の織物の紹介です。弊社へのパールトーン加工ご依頼商品においても上布や芭蕉布から八重山みんさー織まで各種ございます。
① 毛織物
戦後の衣生活の変遷はその素材にも多くの変化をもたらした。すなわちウール地(広幅用)の和服地の使用はそのミシン縫いの手軽さ、クリーニングの丸洗い、安価などが日常着としての「ウール着尺地」を発達させ、一方銘仙・お召が日常着から衰退した。
1. セル
たて・よこ糸とも双撚り梳毛糸を用いた平織地・単衣の着尺地・羽織地または袴地として春先や、秋口などの季節に用いられたが、ウール着尺地の進出で姿を消した。
2. モスリン
梳毛糸の52番、64番をモス糸と呼び、この糸で織られた平織組織の毛織物をいう。現在は化学繊維と混用したものが大半を占めており、広幅地で軽い柔らかな布である。
3. ウール
戦後、しわにならない、丸洗いの出来る八掛のいらないスリーシーズンのきものとして登場した。柄も改良工夫され、大島調・塩沢調・紋織お召風・ウール小紋など多彩となり素材も、絹・合繊との交織による複合の織物で高級化されてきた。
② 麻織物
上等な亜麻やラミーの着尺地をいい、夏の高級織物で、産地名をつけた越後上布(小地谷縮み)・八重山上布・宮古上布・琉球上布・薩摩上布・能登上布などがある。
その他の麻織物の用途として、布団地・座布団地・蚊帳地・芯地などに用いられる。
③ 綿織物
1. 絣
インドから沖縄(琉球絣)を経て九州に伝わった技術は、久留米で木綿絣として開花し四国・中国を経て全国的に木綿絣として普及した。
2. 縞
縞は絣とともに日常着の主流であったが、木綿縞が多く着られるようになったのは、綿の栽培が全国的に普及した江戸後期からである。(それ以前の庶民の日常着は麻、こうぞなどを原料とした織物が主体であった。)
3. その他
- ア. 綿ちぢみ
織りあげた後精練して布面にちぢみを出した盛夏用着尺地 - イ. 岡本綿(真岡木綿)
中形染のゆかた地として広く用いる - ウ. 綿紅梅
たて、よこに間隔をおいて格子のように太糸を織りいれた桝目織の木綿地で肌触りがさらっとしており夏の着尺地(ゆかた)として用いられる。 - エ. 金巾
25~30番手の綿糸で薄手で緻密に織られた平織の生地で裏地・夜具地などに用いる。 - オ. その他の木綿
・晒木綿、新モス、天竺、ガーゼ その他の木綿平織物
・雲斉(うんざい)、デニム、小倉木綿その他の木綿綾織物
④ 化学・合成繊維織物
レーヨン・ポリエステル・ナイロン・ビニロン・アクリルなどの開発により、単独にあるいは混紡や交織によって、風合いの変わった織物が作り出され、強度・防シワ性・経済性などを加味した実用着尺地として広範囲に使用されている。
⑤ その他の織物
樹皮・樹葉その他の植物繊維を原料としたもの。
- 芭蕉布
芭蕉の茎を原料にした沖縄の夏の着尺地。 - 厚司織
オヒョウ・シナノキなどの樹皮からとった繊維を、原始的な居坐機(イザリバタ)で織った厚地の織物でアイヌ民族が衣服に用いた織物。 - 紙子(かみこ)
和紙でつくった衣類・羽織・頭巾などにした。丈夫で暖かく軽いため防寒用・旅行用とした。
※画像はパールトーン加工ご依頼もいただいている「八重山ミンサー」となります。
八重山ミンサーについて
「八重山みんさー」は素材が木綿、組織が平織り、生産地が石垣島と竹富町とする織物です。最大の特徴は、五つと四つの絣に「いつ(五つ)の世(四つ)までも、末永く・・・。」という想いが込められているとのことです。
元々は、藍一色の「ミンサーフ(ウ)」という帯であり、これを愛する男性に贈ったものでした。近年まで竹富島にこの帯としてあったものが今日の「八重山ミンサー」の原型であります。
17~18世紀頃の琉球王朝時代に綿の栽培や交易記録があり、木綿発祥の地といわれるインダスから伝来したと推定され詳細は解っていません。
みんさー織製品は、帯・ファッション・袋物・インテリア等多種多様に生産され、現代の生活に根ざした幅広い製品づくりが行われております。
石垣島のみんさー工芸館さまのご厚意で画像使用許可いただきました。
http://www.minsah.co.jp/