着物とシミについて②
皆様 こんにちは
前回の着物とシミ①に引き続き、シミの内容となります。今回通常着用で付着しやすいシミ・汚れについてご説明いたします。
通常の着用で着物に付く主な汚れは次のようなものです。
・衿
ファンデーション汚れ 皮脂 等
・袖
飲食物・袖口の皮脂・汗汚れ・袖底、袖丸の沈着汚れ
・肩山、袖山
雨ジミ
・胸
汗ジミ
・前身頃
飲食物
・後身頃
泥ハネ
・裏地
たんぱくジミ・血液(居敷当)・カビ、変色
それぞれのシミの特徴
・ファンデーション汚れ(主に油性)
a.着用の際によく付着する汚れ
b.人によって左右の汚れの付き方に差がある
・皮脂汚れ(主に油性)
主に衿・袖口・裾 など肌と直接触れる部分に付く
・沈着汚れ(水性・油性の場合)
a.袖口や裾に付いた汚れが時間の経過で沈着化してしまった汚れ
b.裾に階段や床との摩擦によって摺り込まれるように付く汚れ
c.丸洗いの作業では取りきれない場合が多い
・飲食物(水性・油性・色素・たんぱく等の混合)
a.いろんな成分が含まれていることから、丸洗いの作業では取りきれない場合もある。
b.しみ抜きを依頼される場合には付着した可能性があるものを伝えた方がスムーズ
c.日本酒やビールなどは乾くと発見しづらく、変色化していきやすいので注意が必要です。
・雨ジミ(主に水性)
水性のお直しの場合、水を使用しての直しとなるので、あまり広範囲すぎると縮みが出ます。洗い張りの対応となる場合もございます。
・汗ジミ(水性・油性の混合)
a.胸や背などに丸、又は楕円状に地色が濃くなったように出る比較的新しい汗ジミ
b.袷であれば裏地も同じ状態なので注意が必要です。
・泥ハネ(水性・油性・不溶性の混合)
アスファルトでの泥ハネは排気ガス等の油性分も含まれているのでしつこい汚れの場合もあります。
・血液、たんぱくジミ
a.シミ抜きしても取りきれない場合もございます
b.熱がかかると固着化してしまい、取るのが非常に困難になる。
・胴裏などのカビ、変色
生地が薄く、広範囲にわたるケースもあるので、その場合は交換をお勧めしています。
次回は保管中に出てくる黄変やヤケやスレについてご説明します。