着物はっ水加工の歴史⑤(パールトーン加工)
平安神宮時代祭衣裳、都おどり舞台衣装など、日本の伝統衣装にパールトーンが!
皆様 こんにちは パールトーンタイムスリップ第五弾は1962年です。
1962年(昭和37年)
絢爛豪華な時代絵巻 京都・時代祭の衣裳をはじめ日本の文化遺産にもパールトーンは活躍しています。
京都三大祭といえば、葵祭・祇園祭・時代祭。毎年秋に平安神宮で行われる時代祭は、平安時代の初めから明治に至る各時代の衣装や風俗を表現する華やかな行列が見ものです。目を見張るほどの美しさで、沿道は見物客で黒山の人だかりになります。
ところが困ったことに長距離の行列の為衣裳の傷みが激しく、雨でも降った場合には最悪の事態となります。実際、過去の葵祭ではお祭りの途中から雨が降り、その衣裳の色が落ちたりなど何百万もの損害を被ったという話もありました。また、これらの衣裳は普段平安神宮の蔵の中に眠っているのですが、その間にも湿気や虫など様々なトラブルに見舞われます。そこでパールトーンの出番となったわけです。
昭和37年、当時の平安神宮の宮司、小松照久さんから依頼を受けて時代祭の全ての衣裳に、また同年に京都では有名な都おどりの舞台衣裳にもパールトーン加工をしました。
すでに昭和16年徳川家のご宝物類に、昭和31年には柳川藩立花家秘蔵甲冑衣裳にパールトーン加工を施していましたが、この時代祭衣裳をきっかけにいろんな伝統衣裳のご依頼を受けるようになりました。
昭和38年には京都八坂神社神楽衣裳 昭和42年には京都御所の葵祭衣裳 昭和43年には横浜シルクセンター時代人形衣裳等々にパールトーン加工をしました。
その後も、篠田桃紅墨絵壁紙 人間国宝森口華弘作の綾傘鉾垂れ 東大寺仏布施台裂「水引」 広島三輪神社壁紙 浅草三社祭の役員衣裳 奈良シルクロード博の大綴織などなど・・・。
日本の伝統衣裳をはじめ、後世へ伝えたい日本を代表する数々の文化遺産にパールトーン加工をさせていただいております。
お祭りの時の急な雨降りや汚れから守ることはもちろん、保存の際にも効果を発揮するパールトーンは、きものだけでなく日本文化を伝えるという大きな役目を果たしていることに日本人として誇りを感じます。
※画像は昭和63年 奈良シルクロード博の際の大綴織となります。