植物性繊維の性質
皆様 こんにちは
今回は綿や麻等、植物性繊維の性質をアップします!
植物性繊維
植物性繊維には、天然繊維の麻と綿、化学繊維のレーヨン、ポリノジック、キュプラの合計5つがある。吸湿性に富み、染色も容易、アルカリにも耐え、高温の洗濯やプレスが可能である。しかし最近の植物性繊維には樹脂加工の施されているものがあり、高温洗濯や塩素系漂白剤によって黄変する場合がないとは言えない。綿、麻の天然繊維とレーヨン・ポリノジック・キュプラの化学繊維とは非常に類似した性質を持っている。しかし、この両者間の最も大きな相違点は、綿・麻は乾いている状態よりも湿った状態の方が強いのに対して、レーヨン・ポリノジック・キュプラはその反対に湿った状態の方が弱いことである。(湿った状態が乾いた状態より強い繊維は、綿と麻の2つだけでこのほかにはない)
(1) 麻
麻の種類は植物学的にみれば50種類以上にも達すると言われているが、現在衣料として用いられているのは亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)の2種類である。しかしカーペットの基布には黄麻(ジュート)が使用されている。顕微鏡で見れば麻繊維の表面には、ところどころに節があることがわかる。
- リネン(亜麻):亜麻科の一年生草木で、引っ張り強さは天然繊維の中では最強で毛羽立ちが少なく、接触冷感があり、木綿に比べ熱の良導体である。夏期の高級和服地として越後上布、能登上布、薩摩上布などに用いられる。
- ラミー(苧麻):わが国では昔から、からむしと呼ばれ、絹のような光沢を持ち、極めて強く耐久性に富む、内地に産するラミーは従来手紡によって上布として夏期の和服地として着用されている。
・ジュート(黄麻):シナノキ科植物から得られるじん皮繊維で単繊維は比較的短く黄褐色を帯び、木綿や亜麻に比べ強度、耐久性に劣るが、光沢に冨み、外観が美しく、上等の細糸はカーテン・テーブル掛け・敷物などにも使用されている。
(2) 綿
綿と麻は良く似た性質を持っている。繊維の横断面は中空であり、比重は動物性繊維に比べてやや重く、吸湿性に冨み、乾燥状態より湿潤状態の方が強力が大である。また、木綿には天然のよじれがあり、水酸化ナトリウムの濃い液で処理するシルケット加工で繊維は丸く膨潤してふくれて、天然のよじれもなくなり、光沢が増し、染色性も良くなる。
綿は吸湿性に優れているが、摘んだばかりの綿花は水を吸わない。これは繊維の表面にろう質が含まれているためで、吸湿性を良くするためには表面のろう質を取り除かなくてはいけない。脱脂綿はもちろんこのろう質を除去して吸湿性を良くしたものである。
また、綿の優れた性質を上げれば、丈夫であること・肌触りの良いこと・染色性の良いこと・耐洗濯性が良いこと などがある。しかしこのような優れた性質と同時に、綿にも短所がある。それは綿が非常に縮みやすい性質と、シワになりやすい性質を持ち、洗濯を繰り返すことによって次第に硬くなっていく性質である。このため防縮加工(サンフォライズ加工)が施されたり、あるいは樹脂加工が施されたりして、これらの短所を補う工夫が行われている。
(3) レーヨン・ポリノジック・キュプラ
レーヨン・ポリニジック・キュプラの3つは植物性の化学繊維であり、このなかでもレーヨンとキュプラの歴史は古く戦前にまでさかのぼる。
日本で最初につくられた化学繊維はレーヨンで、大正4年山形県米沢市において誕生した。元々レーヨンは人工の絹をめざしてつくられたものであったから、当初は人造絹糸、略して人絹と呼ばれていた。また、これを適当な長さに切断してわた状のものをつくり、ステープルファイバー(略してスフ)の名称で呼んでいたが、戦後新しい繊維が次々に登場するようになってからは(家庭用品品質表示法に定められたこともあって)、レーヨンに統一され、現在に至っている。戦時中あるいは戦後の衣料事情の悪い時代に、人絹・スフという言葉は粗悪品の代名詞のように使われていたことがあったが、原材料に粗悪なものしか入手できなかった時代であったから、当時の人絹・スフの品質が甚だしく低下していたことは事実である。しかし、本来のレーヨンの品質はそんなに悪いものではないから現在も化学繊維の中で大量に生産され消費されている。
ポリノジックは頭にポリの字がついていることから合成繊維と間違えやすいが、純植物性の繊維である。ポリノジックは元々はレーヨンそのもので、改質レーヨンとか特殊レーヨンと呼ばれるものの1つであるが、その性能や将来性などから、品質表示法上特にポリノジックという名称の使用を許可されたものである
ポリノジックはレーヨンに比べて、優れた強度を持ち、特に特に湿潤状態での強さに優れており、シルケット加工を施すことも可能であるから、非常に木綿に似た繊維であるということができる。ポリノジックのほか特殊レーヨンの中には、タンパク質や合成繊維の原料であるアクリルなどを結合させたものもある。(したがってこれらは純粋な植物性繊維であるとは言い切れない)特殊レーヨンは混合する物質の種類や結合の仕方によって、性能や触感などに多少の差異があるものがつくられているが、その生産量はごく少量である。
キュプラはレーヨンよりも細く、丈夫で美しい艶を持っている。レーヨン・ポリノジック・キュプラ共、100%で使用されるほかに、他繊維と混紡・交織・交編されることが多い。その理由はこれら3つの繊維が吸湿性に冨み、価格も他に比べて割安であり、染色性が良いからである。しかし植物性繊維であるからシワになりやすく、収縮しやすい短所も持っており、綿や麻と同じように樹脂加工などの加工が施されて短所をカバーしている。
レーヨン・ポリノジック・キュプラは湿潤状態では相当強さが低下しているから、特に薄手のものなどは手荒なあつかいをしない方が賢明である。