着物の加工について② 着物に関わる加工屋さんについて
みなさんこんにちは
前回の着物の加工について①湯のし 湯通し に引き続き、今回は表題のように着物に関わる加工屋さんについてざくっとですが書いてみたいと思います。
昔は分業形態で多種多様な加工屋さんがおられましたが、最近では種類も職人さんも減少傾向にあります。
①ととのえる!
・湯のし:反物に蒸気をあてて生地幅を整え、生地をふっくらとします。
・湯通し(地入れ※):生地をお湯に通して、生地に付着した糊気や織物加工時の汚れを取り除きます。
・洗張:着物の仕立を解き、反物に戻して水洗い等洗いをした後、生地を張って乾燥させます。丸洗いと異なり、仕立てを解いてしまうので、再度仕立てる必要が生じます。
・張屋:生地を張って乾燥させます。現在は機械ですることが多いので張屋さんは今はほとんどございません。
※地入れについて
染色に関する加工工程で「地入れ」はよく耳にしますが、工程により少し内容も異なるようです。
湯通しの意味合いでの地入れ→生地をお湯に通して、生地に付着した糊気や織物加工時の汚れを取り除きます。お湯で処理することで生地の地詰めを行い、風合いの調整や収縮防止の効果があります。
引き染の際の地入れ→引き染の作業前に、染色の安定とムラを防止するために生地にふのりや豆汁を引きます。
挿し友禅→色を挿す前に、染料の移動を防ぐために前処理としてふのりや豆汁を挿し色部分に引きます。
浸染→染色前に不純物を落し、発色を良くするために熱湯で処理します。
②なおす!
・地直し:染色補正の工程で色が変色したり、抜けたりした部分を元通りの色に復元します。ヤケ直しや汚れ直し等となります。
・シミ落し:生地の組織に沈着し、繊維の中までには浸透しておらず、生地上に乗っている汚れはシミ落しで対処します。しみ抜きの職人さんは、揮発で汚れの取れ具合を見てから次に水で処置されます。それでも取れない場合は洗剤や酵素、脱色剤を試します。
・丸洗い:着物を縫製したままで揮発洗い後、プレスで仕上げます。揮発で落ちきらない水性汚れ等付着していた場合には別途染色補正が必要な場合もございます。
③染め関連!
・浸染(たき染):熱湯に染料を入れ、その中に生地を浸けこんで撹拌しながら染色します。主に無地染めとなります。
・引染:張り木で生地を柱間に引き渡し、伸子で生地を平面にした状態で染料液を刷毛で引いて塗布します。
・友禅染:模様の輪郭を糊で防染し、内側部分に色を挿していきます。型紙友禅と手描友禅がございます。
④紋関連!
・上絵屋:着物に家紋を染めつけることを「上絵書きをする」といい、携わる加工屋さんを上絵屋さんといいます(入紋・抜紋・上絵等)
・縫紋屋:ケシ縫い、マツイ縫い、スガ縫い、サガラ縫い 等刺繍技法で家紋を表現します。
・紋型屋:渋紙に紋の形を彫刻したものを作成されます。こちらも昔と比べ減少しています。
⑤その他!
・糊置屋:友禅染等で下絵を糊で防染する職人さん。美しい柄の制作にとっても非常に重要な工程となります。
・彩色屋:柄の中に色を挿す職人さん。
その他にも着物は分業で成り立ってきていましたので様々な職人さんがおられたことだと思いますが、高齢化や廃業等もあり、技法の継承が常々問題となっています。