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おしらせ

2017/12/11

TES西日本 繊維製品関連工場見学会に参加しました!

株式会社パールトーンでは、お客さまからお預かりした大切なご依頼品を完璧な状態でお戻しするために資格取得奨励制度を設け、社員一人一人のスキルアップを積極的に応援し、顧客満足最優先企業を目指しています。
そのような環境の中、HP管理人も実は㈳日本衣料管理協会の繊維製品品質管理士(TES)※の資格を取得しており、今回TES会西日本主催の第三回繊維製品関連工場見学会で大阪のカケンテストセンター様へお伺いしてきました。
カケン様は繊維製品を中心に各種物性等を計測・検査いただける一般社団法人様で官公庁納入や一般商取引における公正な第三者の立場に立つテスト機関です。

実はカケンさまの見学は今回が初めてではなく以前も見学させていただいたことがあったのですが、その時は生地の染色堅牢度や引き裂き強度等の基本物性の測定の見学が中心でした。今回は抗菌性や帯電防止等の特殊機能試験の見学ができるとのことでしたので参加しました。
和装関連の業界では素材への付加機能の状況はあまり変化がないのですが、アパレル等においては有名なものですとヒートテックの保温性素材やゴアテックスの透湿防水素材等のように様々な機能性素材が誕生してきている状況の下、新しい機能性の測定はどのようなものなのか興味がございました。
今回、講義と見学のセットで、講義は「付加する機能とその評価」というお題目にて二人世帯の被服にかける年間支出が25年で半減している状況下の元、機能性繊維素材は増加していますがその分機能の裏付けとなるバックデータを保有することも必要で、そのバックデータの部分をカケンさんが担っているという事でした。
例えば、ここのところ毛細管現象を利用した吸水速乾ゆかたがアイテム別の百貨店売上ランキングの上位にランクインしたりして、和装の分野でも吸水速乾性が入り込んできていますが、その機能性の確認は汗を吸う吸水性と吸った汗を拡散することで乾きやすくする速乾性をそれぞれ調べることで数値化し、判断をされておられました。
また、保温性を計測する試験では放熱量を測定する機器を開発され各種試料毎に放熱量の測定をされ、その放熱量から保温率を数値化されておられる状況を見学させていただきました。
今回ご見学させていただき、数年前にご見学させていただいた時とは計測機器も格段と進歩しているように思われ、機能性の測定も多種多様な新しい機能が誕生している状況下において表示根拠の測定において様々な工夫をされておられる様子が垣間見られました。

新市場系の商品の素材の機能判定でカケンさんにはお世話になることもあるのですが、実際新しい機能判定の現場をご見学できたことはとても勉強になりました。今後も繊維関連の情報収集や勉強もしていくことで皆様にフィードバックできればと思っております。


※繊維製品品質管理士とは
繊維製品品質管理士(Textiles Evaluation Specialist TES)は昭和56年度に通商産業省の告示に基づいて生まれたもので、消費者に供給される繊維製品の品質・性能の向上を図ったり、繊維製品の品質について消費者からクレームが出ないように、それらの製品の製造や販売を行う企業の中で活躍するスペシャリストです。その狙いは企業活動の合理化、消費者利益の保護、企業と消費者の信頼関係の改善にあります。

2017/12/05

着物はっ水加工の歴史⑥(パールトーン加工)

「不知不来」いいものをお知らせしないのは罪

皆様 こんにちは パールトーンタイムスリップ第六弾は1983年です。

1983年(昭和58年)
いいものは、大切な家族に伝えるようにメッセージを送る・・・ 先代社長は心がほのぼのとする数々のコピーを生み出しました。

着物業界の広告は商品の付加価値や価格訴求の内容に偏りがちとはいえないでしょうか。広告は消費者に対するメッセージであり、発信する側の心があってこそ胸にひびくものと感じます。
先代社長の國松は昭和38年からこの仕事をはじめ、創業社長はそれから7年後の昭和44年に亡くなりましたが、創業者が残したものを広く伝えるため、思い切ってテレビや雑誌などのマス媒体を通してパールトーンの活動をPRしてきました。もちろん周囲の反対はありましたが、先行投資は必要だと判断したからです。
昭和58年には女優の岩井友見さんと、平成元年には同じく女優の原日出子さんと専属契約しテレビコマーシャルや雑誌広告などを積極的に展開しました。
また、平成3年JR京都駅の新幹線ホームにパールトーンのサインボードで安心きものをアピールすることをはじめたり、大阪梅田駅や東京有楽町のハイビジョンでCMを放映したり、街角の広告にも積極的に取り組んできました。
しかし、マス媒体の経費は大きく、しかもその効果は具体的には見えてこないもの。それでも継続して実施してきたのは、先代の「いいものをお知らせしないのは罪」というベースがあるからです。
中国に「不知不来」(フチフライ)という言葉があります。これはいくらいいものがあっても「知らなければ来ない」という意味です。いくらパールトーンの加工技術が良くてもお知らせしなくてはお客様は決して来ることはないのです。
先代はパールトーンきもの保険「安心どすえ」「心配きものから安心きものへ」「心配きものはタンスの肥し、安心きものは街の華」などをはじめ、数々のコピーを生み出してきました。
手作り感覚のコピーはパールトーンらしいメッセージであり、大切な家族へ伝える気持ちで制作しています。そして、いいものをいつまでも新鮮な表現で継続して発信することが大切とパールトーンは考えています。

2017/11/27

お蚕さんの繭が生糸になるまで!

皆様 こんにちは
生糸っていうとお蚕さんがつくったもの っていう認識はございますが、実際お蚕さんの繭からどのようにして糸になるのかということは良く知らなかったりします。特に昔と違い国内養蚕自体の製造が激減している中では特によくわからなかったりします。そこで今回は表題のように生糸の性状と製糸工程についてアップしたいと思います。

・生糸の性状
絹は蚕の作った繭から取った繊維で、蚕には多くの種類があるので、絹の種類も多いが、大別すると家蚕(カサン)と野蚕(ヤサン)の二種になる。
数個の繭から糸口を引き出してほぐした糸を撚り合せて、一本の糸としたものを生糸という。しかし繭の表面を作る繊維は質が悪いので製糸の段階で良質な糸と区別する。この糸がのし糸、またはしけ糸と称しているものである。また繭の最内部の糸もキビソと称し、他のくず繭とともに紡績絹糸の材料として主に用いられる。
繭から引き出された生糸はそのままでは細すぎるので、数本または数十本を撚り合せ適当な太さにして利用される。また生糸は2本のフィブロインと呼ぶ絹の本質のまわりをセリシンと称するにかわ質でとりかこんでおり、セリシンは全体の約4分の1の量を占めている。
セリシンが付いたままの生糸は硬くて色も悪いが、生糸を石鹸または石鹸-アルカリ液で処理するとセリシンは溶解除去されて美しい絹となる。この工程を精練(セイレン)と呼んでいる。
生糸で精練して染色後製織したものを先染織物と呼び、生糸を製織したものを精練染織したものを後染織物と呼ぶ。また精練はセリシンを除くだけではなく。糸や織物上の不純物や糊分、汚れをも除去する。
屋内で飼育する家蚕に対し、野山に生育している蚕が作った繭から採取された絹で、これも種類が多いが、柞蚕絹(サクテンキ)と天蚕絹(テンサンキ)の2種に大別される。前者は茶褐色、後者は緑黄色を帯びている。いずれもこれらは家蚕絹の2倍の太さを持ち、光沢があり、強度も大であるが、やや粗硬で、鉱物性の不純物を多く含んでいたり、内部まで色素を含むので、漂白、染色が困難な欠点を有する。

生糸の性質は次のようなものである。
・光沢:精練された絹糸の光沢は真珠に例えられるように繊維中もっとも高尚優美でしかも温雅な光沢を有している。

・弾性:心地よい手触りと握りしめた時の良い反発力があり、弾性力に優れている。

・染色性:各種の染料に大きい親和性があってよく染色される。また、同時に汚れなども吸着されやすい。

・吸湿その他の性質:生糸は大気中の湿度に敏感に反応して吸湿、放湿を繰り返す。熱伝導性が小さくて保湿性に優れている。反面、保存中に黄褐色化を起こしやすく、長時間の日光でも脆化する傾向がある。

・製糸工程
蚕のつくった繭から生糸を繰り出す製糸工程に入るわけであるが、その前に次のような準備作業が行われる。

1. 繭集荷と乾繭(カンケン)
養蚕家の作った蚕繭を、製糸工程では生繭のままで買い取ることが多いのであるが、生糸は営繭したさなぎに繭を食い破られる前に解舒(カイジョ)して製糸しなければならない。生繭のままで放置しておくと、さなぎの皮膚が硬化し繭の表皮にシワが表れたり、カビが発生したりして製糸原料としての価値を失ってしまう。そこで繭質保存のため熱でさなぎを殺し、繭中の水分を蒸発させて乾燥させる「乾繭」(カンケン)の作業を行う。

2. 貯繭(チョケン)
乾燥させられた繭は光熱・空気・湿気など外界の影響による変質と、ネズミ・虫・カビなどの害を防いで繭質の保全を図るために貯蔵される。これを「貯繭」(チョケン)といい貯繭方法にはタンク詰法・冷蔵法などがある。生繭を冷凍保存したり、塩蔵することも行われている。

3. 合併と選繭(センケン)
「合併」とは生糸の荷口をまとめるため蚕品種産地上簇時期・産期・繊度などの一致した繭を混合する作業である。そうした後に不良繭を選り分ける作業である「選繭」(センケン)が行われる。これは生き物の蚕が作った繭であるので形の大小や繭層の厚い薄い等の点で差があり、繰糸に適当な繭、又は目標とする格の生糸に繰糸できるに達した繭を選ぶこととなる。
ここまで進むと、いよいよ製糸工程の本番に入るのであるが、工程としては「煮繭」(シャケン)「繰糸」「整理」の三つに分けられる。

1. 煮繭工程
90℃~100℃内外の熱湯中で約10分間煮繭し、繭層や繭糸に固着している適度に溶解軟和して、繭糸の解離を容易にする作業。この処理は繰糸能率、糸量、生糸品位などに与える影響が大きく、煮繭法としては蒸気煮繭法、基準式煮繭法、赤外線煮繭法などがある。

2. 繰糸工程
製糸作業中最も重要な工程であり、煮熟した繭の糸口を繰糸湯に入れ、数本の繭糸を合一して撚りかけて繰糸し、集緒器の小穴を通して抱合密着させて一本の生糸として枠に繰りとる作業である。繰糸器は古くは座繰機であったが、近年著しく進歩して高速自動繰糸機が登場、繰糸中の生糸の太さを自動的に感知する繊度感知機構を備え、索緒・繭補給・接緒、落繭・輸送・分離 及び関連作業が自動化されるようになってきている。

3. 整理工程
繰り枠に巻き取った生糸は、繰糸中にできた糸の歪みを除去すると同時に生糸を出荷、梱包しやすいように大枠に巻き返して枷(カセ)に仕上げ、更に枷20本を一括として文庫紙に包み、一俵が約60キログラムになるように荷造りを行う。こうして生糸は白生地産地へと運ばれていく。最後に原料繭の選別から外れた的外繭、不良繭についても殆ど捨てられることはなく、玉糸、紬糸、真綿、絹紡糸原料、肥料、薬品などとなって利用されている。

2017/11/20

着物はっ水加工の歴史⑤(パールトーン加工)

平安神宮時代祭衣裳、都おどり舞台衣装など、日本の伝統衣装にパールトーンが!

皆様 こんにちは パールトーンタイムスリップ第五弾は1962年です。

1962年(昭和37年)
絢爛豪華な時代絵巻 京都・時代祭の衣裳をはじめ日本の文化遺産にもパールトーンは活躍しています。

京都三大祭といえば、葵祭・祇園祭・時代祭。毎年秋に平安神宮で行われる時代祭は、平安時代の初めから明治に至る各時代の衣装や風俗を表現する華やかな行列が見ものです。目を見張るほどの美しさで、沿道は見物客で黒山の人だかりになります。
ところが困ったことに長距離の行列の為衣裳の傷みが激しく、雨でも降った場合には最悪の事態となります。実際、過去の葵祭ではお祭りの途中から雨が降り、その衣裳の色が落ちたりなど何百万もの損害を被ったという話もありました。また、これらの衣裳は普段平安神宮の蔵の中に眠っているのですが、その間にも湿気や虫など様々なトラブルに見舞われます。そこでパールトーンの出番となったわけです。
昭和37年、当時の平安神宮の宮司、小松照久さんから依頼を受けて時代祭の全ての衣裳に、また同年に京都では有名な都おどりの舞台衣裳にもパールトーン加工をしました。
すでに昭和16年徳川家のご宝物類に、昭和31年には柳川藩立花家秘蔵甲冑衣裳にパールトーン加工を施していましたが、この時代祭衣裳をきっかけにいろんな伝統衣裳のご依頼を受けるようになりました。
昭和38年には京都八坂神社神楽衣裳 昭和42年には京都御所の葵祭衣裳 昭和43年には横浜シルクセンター時代人形衣裳等々にパールトーン加工をしました。
その後も、篠田桃紅墨絵壁紙 人間国宝森口華弘作の綾傘鉾垂れ 東大寺仏布施台裂「水引」 広島三輪神社壁紙 浅草三社祭の役員衣裳 奈良シルクロード博の大綴織などなど・・・。
日本の伝統衣裳をはじめ、後世へ伝えたい日本を代表する数々の文化遺産にパールトーン加工をさせていただいております。
お祭りの時の急な雨降りや汚れから守ることはもちろん、保存の際にも効果を発揮するパールトーンは、きものだけでなく日本文化を伝えるという大きな役目を果たしていることに日本人として誇りを感じます。

※画像は昭和63年 奈良シルクロード博の際の大綴織となります。

2017/11/16

AERA に広告掲載させていただいております!

皆様
こんにちは

表題の通り、今回雑誌「AERA」のNO.51号に広告を掲載させていただきました。
この号はエリア特集の特大号ということで、「京都特集」が組まれており、閉鎖的なイメージを持たれる京都の人間とコミュニティのお話から、今話題となっている応仁の乱のお話もあり、読み応えのある内容となっております。

是非書店等で見かけられた際はお手に取っていただければ幸いです。

2017/11/15

お着物の組成がわからないときの裏ワザ

皆様 こんにちは
今回は繊維の組成等を知りたいがわからないというよう場合の裏ワザについてご紹介したいと思います。
私の個人的な事をお話すると、出先でお客様から長襦袢に関するしみ抜き等のご相談をされた際に、その長襦袢が、絹なのか化繊なのかわからないことがあり、困ったことがございました。(化繊の場合、しみ抜き剤で使用できないものもあるため)
その際にたまたまおられたしみ抜きの職人さんにアドバイスされ、裏部分から糸を少し取り、燃やしてみたところ毛髪のにおいがしたので絹とわかった事例がございました。
全てにおいて万全ではないかもしれませんが、一つの性質としてご紹介させていただきます。

以下は繊維の端部分等から、糸を数本取出してみて燃焼した際の各種繊維の特徴です。
それぞれ①炎に近づけるとき ②炎の中 ③炎から離れた時 ④臭 ⑤灰 の状態の性質となります。

※あくまでも燃焼時の性質ですので、ご自身で対応される際には十分ご注意の上、自己責任でお願い致します。

・綿
① 炎に触れると直ちに燃える
② 燃える
③ 燃焼を続け、非常に速やかに燃える。残照がある
④ 紙の燃えるにおい
⑤ 非常に小さく柔らかくて灰色

・麻(亜麻及びラミー)
綿と同様

・絹
① 縮れて炎から離れる
② 縮れて燃える
③ 羊毛に似ているが、ややひらめいて燃える
④ 毛髪の燃えるにおい
⑤ 黒くふくれあがり、もろく容易につぶれる

・羊毛
① 縮れて炎から離れる
② 縮れて燃える
③ 困難ながら燃焼を続け、燃えるに先立って縮れる
④ 毛髪の燃えるにおい
⑤ 黒くふくれあがり、もろく容易につぶれる

・レーヨン
① 炎に触れると直ちに燃える
② 燃える
③ 燃焼を続け、非常に速やかに燃える。残照はない
④ 紙の燃えるにおい
⑤ 光沢を抑えたダルレーヨンでなければ灰はほとんど残らない

・キュプラ
レーヨンと同様

・アセテート
① 溶解し炎から離れる
② 溶解して燃える
③ 溶解しながら燃焼を続ける
④ 酢酸臭
⑤ 黒く硬くてもろい不規則な形

・トリアセテート
アセテートと同様

・プロミックス
① 収縮しながら炎を上げて燃える
② 燃える
③ 燃焼を続ける
④ 毛髪の燃えるにおい
⑤ 黒色のややもろい灰

・ナイロン
① 炎に近づけると溶解する
② 溶解して燃える
③ 燃焼を続けない
④ アミド特有のにおい
⑤ 硬く焦茶色から灰色のビーズ

・ポリエステル
① 炎に近づけると溶解する
② 溶解して燃える
③ 燃焼を続ける
④ 非常に甘いにおい(弱い)
⑤ 硬く丸く黒色

・アクリル
① 炎に近づけると溶解して着火する
② 溶解して燃える
③ 速やかに燃える
④ 肉を焼いた時のにおいとやや似ている
⑤ 硬く黒く不揃い

・ポリウレタン
① 炎に近づけると溶解する
② 溶解して燃える
③ 燃焼を続けない
④ 特異臭
⑤ 粘着性を有するゴム状の塊


火の取り扱いには十分ご注意くださいね!

2017/11/13

着物はっ水加工の歴史④(パールトーン加工)

パールトーンという名称が会社の名前になりました!

皆様 こんにちは パールトーンタイムスリップ第四弾は1961年です。

1961年(昭和36年)
大切な衣裳に水がかかってもパールトーン加工がしてあると真珠のようにコロコロころがるから・・・
それがパールトーンの社名誕生の秘話です。

佐世保で産声をあげた國松商会は昭和33年(1958年)に東京パールトーンとして日本橋久松町に営業所を構え、三越、髙島屋、伊勢丹、東京市田、白木屋と老舗百貨店と次々にお取引を開始いたしました。
そして、昭和36年には現在の拠点、京都へ根を下ろします。これはとりわけきもののメッカは京都との認識がきもの業界内で強かったことや、しょうざん先代社長からの要請があったからです。社名を株式会社 京都パールトーンに変更し、いよいよ企業化へのスタートとなったわけです。京都市右京区梅津段町に工場を開き、営業の本拠を構えました。しょうざん、上田善、矢代仁、千總、千切屋 さんと室町、西陣の呉服問屋とのお取引がはじまり、パールトーンの技術は着実に全国に広がりを見せていきました。
ちなみに、パールトーンという社名の由来をここで述べておくと、昭和30年 西陣のつづれの小川英さんが撥水加工を施した繊維に水がかかって真珠のようにコロコロとはじけるのを見て、パールトーンと銘々したのがきっかけで、図らずも昭和35年6月11日の繊維組合新聞でもパールトーンを「真珠のような輝き」という見出しで紹介されています。
このころから、美容界の山野愛子先生をはじめ各界の先生方の信用も得られ、結果大きな宣伝効果を生んでいったようです。当時、山野愛子先生が発刊されていた「ビュウティ クラブ」(昭和35年4月号)でも先生自らのパールトーンへのメッセージが紹介されています。また、当時のパールトーンのパンフレットには、山野愛子先生をはじめ、大塚末子きもの学院院長さん、プロレスラーの力道山さん、映画俳優の水戸光子さん等々、著名人のパールトーンへのメッセージが紹介され、その技術への信頼が大きく広まっていきました。


2017/11/06

合成繊維の性質

皆様
こんにちは

今回は合成繊維の性質についてアップします!

合成繊維
合成繊維及びこれに類似するものについては「半合成繊維」と「合成繊維」との2つがある。これらに含まれる繊維の数は非常に多く、15種類にも達する。これらの繊維が動物性繊維と異なる点は吸湿性が少ないこと(繊維によっては吸湿性ゼロのものもある)、熱によって軟化したり、溶けたりする性質をもっていることである。
「半合成繊維」は植物性の原料に酢酸が結合したもので、いわば分子が半分合成された形をしているところからこの名前があり、アセテート・トリアセテートの2つがこれに含まれる。
「合成繊維」は繊維を形作る分子そのものを科学的に合成しているのでこの名前があり、13種類の繊維がこれに含まれている。
動物性繊維に様々な加工が施されて欠点をカバーしているように、合成繊維も改良・改質が行われ、防融加工や吸汗加工など多くの加工が施されている。

(1) アセテート・トリアセテート
アセテートもトリアセテートも共に美しい繊維で、外国でもビューティフル・ファイバー(美の繊維)といわれている。絹のような美しい艶と、しなやかさを持つこの2つの繊維の違いは、植物性の原料に結合している酢酸の分量が多いか少ないかだけである。しかがって性能は良く似ていて、比重は絹とほとんど変わらず、熱セットもできるが、摩擦や引っ張りに対してはあまり強くはない。また、アセトンや氷酢酸で溶解することも同じである。しかし、アセテートとトリアセテートの性能的な差の大きい箇所は、吸湿性と耐熱性である。トリアセテートの吸湿性はアセテートの約1/2 耐熱性はトリアセテートの方が30度~40度優れている。
アセテート・トリアセテート共その美しさから使用される分野は婦人物が中心となっているが、紳士物・寝具類にも使用されている。
アセテート・トリアセテートには美しい艶があるが、熱や蒸気によってこの美しい艶を失わせないようにしなければならない。また、熱で部分的に光らせたり溶かしたりしないようにしなければいけない。
しみ抜き時の溶剤あるいは酸を含んだ防水剤を使用するときには、これらの薬剤によっては繊維を溶かすものもあることも注意する、アセトン・酢酸アミル・シンナー・氷酢酸(15%以上)・クレゾール・クロロホルム等は使用してはいけない。また、アルコール・メタノール・アミルアルコール・酢酸プチルも安全であるとは言い切れない。
アセテートのベルベットは特に毛倒れを起こさないように注意して取り扱う必要がある。加熱された状態で毛倒れが発生した場合は、熱でセットされた状態となるため、その修正はほとんど不可能となってしまう。アセテートのベルベットだけには限らないが、ベルベットは水洗・しみ抜きは困難である。

(2) ポリエステル
ポリエステルは昭和33年春からわが国で生産されるようになった合成繊維で、ナイロン・ビニロン・アクリル 等より遅れて企業化された繊維である。しかしポリエステルは優れた性能のために急速に進展した。
ポリエステルはシワになりにくく、ひだが消えにくく、早く乾き、耐熱性も合成繊維の中では優れており、強さもナイロンとほとんど同じくらいに丈夫である。
また、ポリエステルは製造工程で原材料にある種の物質を添加することによって、多少性能に違いがあるものをつくることが可能である。このように物質を加えたポリエステルは、柔いのでウールタイプのポリエステルといわれ、染色性に優れているが、耐熱性はやや低下する。これに対し無添加のポリエステルは強度や耐熱性に優れ、繊維がやや硬いから綿タイプのポリエステルといわれている。同じポリエステルでも性能に差があるものがあることを認識しておかないとプレス時には思わぬ結果を招くことになりかねない。綿タイプかウールタイプかを見分けることは困難である。また、アルカリ減量加工によって硬いポリエステルも柔軟にすることができる。
ポリエステル繊維はドライクリーニングで汚染されやすい性質があるから、逆汚染させないように配慮する必要がある。特に白地あるいは淡色地のドレス、コート、和服類に注意しなければならない。これらの裏地にはたいてい同じ素材が使用されているものが多いから、むしろ水洗(低温)の方が安全であり、又最も適した洗い方といえる。
植物性繊維と混紡されたワイシャツなど、高温で水洗されるものは、洗濯中のシワを防止し逆汚染を防ぐ意味から70度以下で処理することが望ましい。こうすることによってポリエステルのくすみを防止することができる。

(3) ナイロン
ナイロンは第二次世界大戦時にアメリカで本格的生産に入った繊維であるが、わが国では戦後に登場した繊維である。ナイロンはそれまでの繊維よりはるかに強かったので戦後強くなったのは靴下であるという諺さえ、生み出した。その後多くの合成繊維がつくられるようになったが、今でもナイロンの強さは抜群であるといってよい。
ナイロンは摩擦や引っ張りに強いだけではなく、軽いことも特長の1つである。最近ではポリプロピレンのように水に浮くような軽い繊維がつくられるようになったため、ナイロンの軽さは少し影が薄れてきたような感じがするが、他の繊維と比べてみると非常に軽い繊維であることは変わりがない。このほか吸湿性が小さいこと、熱によって軟らかくなり遂には溶ける性質をもっていること、熱セットができること等の性質があるのはもちろんである。

(4) アクリル
ナイロンは絹に良く似ている合成繊維であるといわれているが、アクリルはもっともウールに良く似ている合成繊維である。その特長の第一は、柔らかいことにあり、ラムウール(仔羊のウール)にも匹敵する暖かな肌触りがアクリルの身上である。その上、優れたバルキー性と保湿性を備えており、アクリルカラーといわれる位に染色性も良い。そしてアクリルは特に直射日光に対しても強く比重もナイロンとほぼ同じくらいに軽い。
こうした特長を持っているから、メリヤス肌着、スポーツウェア、セーター、ニットスーツ、パイルソックス、手袋、マフラー、ハイパイルのショール等に用いられるほか、毛布、ふとん、カーテン、カーペット、クッション、椅子生地としても用いられている。また、アクリルは接着布用素材としても重要なものとなっている。
アクリルニット製品は、クリーニング処理によって伸びやすいので、注意しながら処理をする必要がある。しわのばしに蒸気を使用するときは慎重にし、仕上げ後まだ熱いうちにハンガーに吊るしたままで、長時間そのままにしておくなどは避けた方が安全である。収縮したものの修正は不可能ではないにしても、引っ張り過ぎれば今度は伸びすぎてどうにもならなくなってしまう。
アクリルも他の合成繊維と同じように、ドライクリーニングによる逆汚染を防止する必要がある。

(5) ポリウレタン
この繊維はスパンデックスと呼ばれることがあるが、普通一般の繊維と違い、ゴム糸のように自由に伸び縮みする性質を持った合成繊維である。染色することも可能であり、ゴム糸ではつくることができないようなごく細い糸を生産することが可能である。
このような性質を持っていることから、ファンデーション類(ブラジャー・パンティ・ガードルなど)や、靴下、メリヤス下着、水着、スポーツウェアなどの中にも使用されている。

(6) プロミックス
このプロミックスという繊維は、アクリル繊維の原料と、動物性蛋白質を結合させてつくった世界でも非常に珍しい繊維である。合成繊維というよりはむしろ半合成繊維であると言った方がいいかもしれない。昭和44年秋ごろから発売された繊維である。
プロミックスという名前は、蛋白質、つまりプロテインがミックスされているというところから命名されたものであるが、蛋白質(ここではミルクカゼイン)の混合割合は30~50%位である。プロミックスは絹のような美しい艶と、暖かみのある肌触りを持ち、染色性も良い。その上、動物性繊維より軽く吸湿性も少ないが、合成繊維中ではビニロンと並んでよく水を吸う方である。
プロミックスの用途は、マフラー、スカーフ、ネクタイ、和服等である。
クリーニング処理上は高温でいためたり、艶を消すことのないような注意が必要である。また水洗した場合の乾燥の仕方によっては異臭を発することがまれにあるが、再び洗濯し手早く乾燥すれば異臭は消える。合成繊維類は虫やカビに侵されないのが特長の一つであるが、このプロミックスはカビに侵され、虫にも注意を要するから、保存には注意が必要である。

2017/10/26

【成人の日】雪と振袖

【ハレの日である成人式ですがお天気は晴天であるとは限りません。】

皆様こんにちは 早いもので10月も終わりに近づき、今年も残すところ2カ月強となりました。来年の正月が明けますとまた今年も成人の日がやってきますね。

HP管理人にとって印象的だったのが、2013年1月14日の成人式で日本列島を大寒波が襲いました。
画像は東京都江戸川区の成人式の様子です。

この時に成人を迎えたお嬢様方はいったいどのような気持ちだったのでしょう。

一生に一度しかない20歳のお祝いの日に振袖を着て、華やかな気持ちになりたかったはずの成人式。
しかし着物を汚したくないという「心配」が喜びを半減させている現実がそこにありました。
成人の日後当社にしみ抜きご依頼の商品を見ておりますと

①パールトーン加工済みのお着物は衿のファンデーション汚れ・首筋や手首の汚れなど通常の着用汚れ程度でした。

②パールトーン未処理のお着物は裾の汚れや、泥はね、袖を地面に落としてしまった泥染み、表地のひどい収縮、八掛の色が裏に移っているなどかなり重傷のものがたくさんありました。


パールトーン加工済み、パールトーン未処理の2種類の着物を見て、改めてパールトーン加工の大切さを痛感しましたし、これを皆様に伝える必要があると感じました。

また、振袖の陰に隠れがちですが、帯や長襦袢へのパールトーン加工は大切です。帯に雪が積もっている状態を見ると、特に金銀糸・箔を使用している織物である帯など場合によっては直しきれないダメージを受けかねません。

振袖着装の機会は今後の着物ファンを増やすための入り口となりますので、ハレの日は安心して着物ライフを楽しんでいただきたい パールトーンはそう考えます。

2017/10/23

着物はっ水加工の歴史③(パールトーン加工)

東京白木屋百貨店にてパールトーンの加工説明会を行う!

皆様こんにちは。パールトーンタイムスリップ第三弾は1960年です。

1960年(昭和35年)
百貨店や呉服屋さんにてその加工技術を実演すると評判になる、口伝えにジワジワとその効力は広がっていきました。

昭和16年、徳川本家のご宝物類に、昭和31年には柳川藩立花家秘蔵の甲冑衣裳に加工をするなど名誉な仕事をさせていただきました。
また、昭和28年には博多岩田屋及び玉屋呉服部とお取引を開始し、九州各地区の高級呉服専門店とのお取引も順調に広がっていきました。さらに、昭和33年には東京へ進出し、商売としても少しずつ軌道に乗りはじめていきます。
商売気などみじんもなく、ひたむきに研究開発を進める國松勇は、加工の技術はもちろん周囲の人からも自然な形で信頼を得たようです。パールトーンの技術は新聞や口伝てにジワジワと広まっていきました。
昭和35年7月9日の毎日新聞は「シミのできない繊維加工」という見出しでパールトーン加工の説明をしていますが、動物性繊維には100%の効果、布地が傷まず熱にも強いという利点を紹介すると同時に、気になる点は値段が少々高い点もしっかり打ち出されています。同年12月10日読売新聞ではパールトーン加工の説明と料金表がきちんと記されています。今のような宣伝方法がなかった当時、國松勇は利用者を前に実際に実演しながら説明しました。効果とともにその限界も含め正直に伝えたのです。だからこそ、信用を積み重ねることができたに違いありません。
昭和35年、東京白木屋百貨店(後の東急百貨店)にて加工説明会を開き、集まったたくさんのお客様に、國松勇は自ら精力的に誠実に説明をしました。そしてパールトーンに共感した小売店さまでも積極的に実演会を開催いたしました。その告知は新聞記事やチラシ広告にも大きく表記されていることから、当時どれだけ画期的な加工であったのかを物語るようです。

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